夏休みの宿題で「短歌をつくりましょう」と言われて、こまっている人は多いと思います。短歌って、なんだかむずかしそう。どんな言葉を使えばいいのか、ぜんぜんわからないですよね。
でも、安心してください。短歌に「正解」はありません。
夏休みに体験したこと、びっくりしたこと、楽しかったこと——それをそのまま5・7・5・7・7のリズムにのせるのが短歌です。
花火の音、セミのうるさい朝、プールで息つぎをしたとき上に広がっていた空の青さ——そういう「あったあった!」という体験が、そのまま短歌になります。
目次
夏の短歌の作り方|小学生向け3ステップ
短歌をつくるのに、むずかしい言葉はいりません。「上手に書こう」とがんばるより、「きのうあったこと」をそのまま言葉にするだけで、ちゃんとした短歌になります。
3つのステップを順番にためしてみてください。
1
夏のひとつの「場面」を決める
「夏休みの思い出」という大きなテーマではなく、もっと小さな場面を1つだけ選びます。「花火がドンとひびいたとき」「プールで息つぎをしたら空がすごく青かった」「セミのせいで7時に目がさめた」——そのくらい小さな場面の方が、言葉が出やすくなります。
2
そのとき思ったことを「正直に」書く
「楽しかった」「きれいだった」という感想は、一度わきに置いてみてください。かわりに、そのとき何を見て・何を聞いて・どんな気持ちだったかを書きます。「花火がきれいだった」より「ドンってなってむねがドキドキした」の方が、読む人の心に届く短歌になります。
3
5・7・5・7・7にならべる(ぴったりじゃなくていい)
気持ちを言葉にできたら、5・7・5・7・7のリズムにならべます。はじめからぴったり合わせようとしなくて大丈夫です。1〜2音多くなっても気にしなくてOK。まず書きたいことを書いて、あとからリズムを整えるのがおすすめです。
「うまく書こう」と思うほど言葉が出なくなります。「思ったことをそのまま」書くだけでOKです。
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夏の短歌で使える季語・言葉リスト(35語)
短歌に夏らしさを出すには、夏の言葉を1つ入れるだけで十分です。「季語」とは、季節を表す言葉のことです。短歌に季語を1つ入れると、読む人がすぐに「夏の場面だな」とわかってくれます。
下のリストから、自分が実際に見たり聞いたりした言葉を1〜2語だけ選んで使うのがポイントです。
夏の季語・言葉リスト(35語)
☁ 空・天気・自然
炎天(えんてん)
熱帯夜(ねったいや)
入道雲(にゅうどうぐも)
夕立(ゆうだち)
夏の月(なつのつき)
天の川(あまのがわ)
南風(みなみかぜ)
夕焼け(ゆうやけ)
🌻 植物
ひまわり
朝顔(あさがお)
青葉(あおば)
夏草(なつくさ)
百日紅(さるすべり)
蓮(はす)
緑(みどり)
🐛 生き物
セミ(蝉)
セミしぐれ
ホタル(蛍)
カブトムシ
クワガタ
金魚(きんぎょ)
赤とんぼ
くらげ(海月)
🍉 食べ物・くらし
かき氷(かきごおり)
スイカ(西瓜)
そうめん
風鈴(ふうりん)
扇風機(せんぷうき)
日焼け(ひやけ)
麦わらぼうし
🎆 夏の行事・場面
花火(はなび)
夏祭り
浴衣(ゆかた)
盆踊り(ぼんおどり)
海水浴(かいすいよく)
プール
りんごあめ
※ 短歌に季語を入れることは必ずしも必要ではありませんが、1つ入れると夏の場面がパッと伝わります。つめこみすぎず、1〜2語だけ選びましょう。
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テーマ別 例文20首|小学生の夏休みを詠む
下の20首はすべてこの記事のために書き下ろした短歌です。
小学生が夏休みに実際に体験しそうな場面を5つのテーマに分けて4首ずつ紹介します。それぞれに「なぜこう書いたか」の解説をつけているので、自分で短歌を作るときのヒントにしてください。
花火・夏祭り
花火の「ドン」という音、お祭りのちょうちん、たこやきのけむり——夏祭りの場面には、五感にひびく言葉がたくさんあります。「きれいだった」より「ドンとひびいた」のように、体で感じたことをそのまま書いてみましょう。
花火の夜首がいたくてふり返る兄ちゃんずっと口が開いてた
かいせつ:打ち上げ花火をずっと見上げていて、首がいたくなった様子を詠んでいます。ふつうなら「花火がきれいだった」と書くところを、あえて横にいる「兄ちゃん」のようすを書くことで、その場の楽しさがよく伝わります。
「ずっと口が開いてる」ってところで、花火がどれだけすごかったかも逆によく伝わってくるにゃー。
お祭りの熱気の中でとけてゆくりんごあめ持つ指のべたべた
かいせつ:お祭りのあつさで、りんごあめがだんだんとけて手がベタベタになっていくようすを書いています。「たのしい」と書くかわりに手の感かくをそのまま書くことで、お祭りのあついふんいきがリアルにつたわります。
りんごあめを食べるとき、絶対に手がベタベタになるにゃ!そういう「あるある」をそのまま書くのが、みんなにきょうかんしてもらえるコツだにゃー。
ちょうちんのオレンジ色がてらす道お母さんの手あたたかかった
かいせつ:お祭りのちょうちんの色と、お母さんの手のぬくもりを、いっしょに書いた短歌です。「オレンジ色」という具体的な色の名前と、「あたたかかった」という体の感覚をあわせると、場面がはっきりうかびます。
ちょうちんの明かりと手のあたたかさ、ふたつで夏祭りの全部がつたわるにゃ。
たこやきのけむりが立って夏祭りもう一度だけ来たかった夜
かいせつ:お祭りが終わったあとで「もう一度行きたかった」と思った気持ちを詠んでいます。「けむりが立って」という場面の描写で始めて、最後に「来たかった夜」という気持ちで終わると、読みおわったあとも余韻が残ります。
終わったあとの「もう一度」って気持ち、すごくわかるにゃ。たこやきのけむりが目にうかぶにゃー。
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海・プール・川
夏の水の場面には、体で感じる言葉がたくさんあります。「つめたい」「しょっぱい」「青い」——水と体のふれあいをそのまま書くと、夏らしい短歌になります。
波ぎわで砂のおしろを作ったよ手のかべ作って波からまもる
かいせつ:せまってくる波から、自分のお城をいっしょうけんめいまもっている様子を書いています。「手のかべ」という言葉を使うことで、波に負けないぞという強い気持ちが伝わります。
自分の手でお城をがっちりガードしたんだにゃ!波に負けずに「まもりきったぞ」っていう強い気持ちが伝わってくるにゃー。
プールでのバタ足のまま息つぎに空を見上げた青すぎる空
かいせつ:プールで泳いでいて、息つぎのために上を向いたとき見えた空の青さを詠んでいます。「バタ足のまま」という動きの言葉から始まって、最後「青すぎる空」で視界がパッとひらける感じが出ています。
「バタあしのまま」って書くだけで、プールの場面がぱっとうかぶにゃ。動きの言葉ってすごいにゃ。
かいせつ:川あそびで石をひっくり返したとき、弟がそこにいる虫を見て「なんだこれ」と言う場面。ふだんの会話の言葉をそのまま入れると、場面がいきいきとします。
「なんだこれ」ってセリフがそのまま入ってるにゃ!ふつうの会話をそのまま使っていいんだにゃ。
海の水しょっぱくて口にがかったまた飲んじゃった夏の海あじ
かいせつ:海水が口に入ってしまった経験を詠んでいます。「しょっぱくてにがかった」という正直な味の感想と、「また飲んじゃった」というちょっとおかしいオチが、読む人をほっこりさせます。
「またのんじゃった」ってつい笑っちゃうにゃ。正直に書いた短歌って読んでいて気持ちいいにゃ。
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夏の生き物
セミ・カブトムシ・ホタル・金魚——夏にしかいない生き物たちは、短歌のとても良い題材になります。生き物のようすをよく観察して、その子だけが持っている特ちょうを1つ書いてみましょう。
セミの声目がさめる朝七時だよ今日もあついとセミが教えた
かいせつ:セミの声で目がさめた朝の場面。「セミが教えた」というおわりかたで、セミを天気予報をしてくれる存在のように使っているのがポイントです。生き物に人のようなはたらきを与えると、短歌が生き生きします。
セミが天気予報にゃ!おもしろい見方だにゃ。「しちじだよ」って時計みたいに正確なのもおかしいにゃ。
カブトムシ木のみきのぼるつかまえた手のひら重い夏のかたまり
かいせつ:カブトムシをつかまえた瞬間のずっしりとした重さを詠んでいます。「夏のかたまり」というまとめかたで、カブトムシがまるで夏そのものをぎゅっとつめこんだもののように感じられます。
「なつのかたまり」がカブトムシのことを言ってるにゃ!ずっしりした重さがつたわってくるにゃー。
暗やみにホタルが光る夜の川お母さんにも見せたくなった
かいせつ:暗い川でホタルを見て、その美しさをお母さんにも見せたくなった気持ちを詠んでいます。「見せたくなった」というおわりかたで、ホタルの光がいかにきれいだったかが自然に伝わります。
「みせたくなった」で、ホタルがどれだけきれいだったかがぜんぶ伝わるにゃ。直接「きれい」と書かないのがいいにゃ。
金魚ばちのぞいてみればのぞかれた丸い目二つじっと見ている
かいせつ:金魚ばちをのぞいたら、金魚からもじっとこちらを見ていた——という、おもしろいやりとりを詠んでいます。「のぞいたら・のぞかれた」という言葉の対比が、読んでいて楽しい短歌になっています。
「のぞく」「のぞかれる」が対になってておもしろいにゃ!金魚もこっちを見てるんだにゃー。
家族・おでかけ
夏休みは家族といっしょに過ごす時間が増えます。スイカ割り、ドライブ、おばあちゃんの家——そういう「ふつうの家族の場面」が、あとから見ると大切な思い出になります。
かいせつ:弟といっしょに庭でスイカ割りをした場面。「種が遠くに飛んでいった」というおわりかたで、スイカがパカッとわれた瞬間の勢いが目にうかびます。
「たねがとおくにとんでいった」、スイカがわれたときの「ドパッ」って感じが出てるにゃ!楽しそうにゃー。
ドライブでまどにぺったり海の青お母さん笑う写真とってよ
かいせつ:ドライブ中に窓から海が見えて、思わず窓にはりついてしまった場面。「ぺったり」という言葉に、子どもらしいはしゃぎかたが出ています。最後の「写真とってよ」というセリフもそのまま入れています。
「まどにぺったり」って言葉がかわいいにゃ。セリフをそのまま入れると場面がリアルになるにゃ。
おばあちゃんちの家に着く夏の昼庭のひまわりせがのびてた
かいせつ:夏休みにおばあちゃんの家に行ったとき、去年より背が伸びたひまわりを見た場面です。「せがのびてた」はひまわりのことですが、読む人には「子ども自身も大きくなった」ことも重なって見えます。
ひまわりが伸びてたのか、自分が伸びたのか、どっちにもとれるにゃ。そういう短歌って深いにゃ。
かいせつ:家族で夜の海を散歩したときの場面。「波の音だけ」という言葉で、だれも話さずにただ波音だけが聞こえる、しずかなひとときが伝わります。
「なみのおとだけ」でしずかな夜の海が目にうかぶにゃ。にぎやかなのより、しんとした場面もいいにゃ。
夏休みの終わり・宿題
夏休みの終わりは、うれしいような・さびしいような・あせるような、ふしぎな気持ちがまじった時期です。そういう「むずかしい気持ち」も、短歌にすると整理できます。
宿題がまだ残ってる最後の日なぜかすずしい秋の風ふく
かいせつ:宿題が終わっていないのに、なぜか秋風がふいていてすずしくなってきた夏休み最後の日の場面です。「なぜかすずしい」という不思議な感じが、あせりの中に混ざる気持ちを表しています。
あせっているのに「なぜかすずしい」って、リアルにゃ!宿題が終わってないのに空気だけ秋になってくるにゃ。
観察の日記に書いたセミの声おぼえているかもう聞こえない
かいせつ:夏の観察日記に書いたセミの声が、夏の終わりにはもう聞こえなくなっていた——という場面。「おぼえているか」という問いかけが、自分自身への問いかけにも読めます。
「おぼえているか」がセミに聞いてるのか自分に聞いてるのか、どっちにも読めてしんみりするにゃ。
夏休み明日で終わるその気持ち夏の光がまぶしすぎるよ
かいせつ:夏休みが明日で終わるという日の、あのなんともいえない気持ちを詠んでいます。「まぶしすぎるよ」で、その気持ちを直接語らず、光のまぶしさに重ねているのがポイントです。
「まぶしすぎるよ」って、さびしいのかうれしいのかわからないあのきもちにぴったりにゃ。
はじめての短歌が書けたうれしくて友だちよんで見せびらかした
かいせつ:はじめて短歌が書けたうれしさで、友だちに見せに行った場面。「見せびらかした」というちょっと正直すぎる言葉が、かわいくておもしろい短歌にしています。自分の気持ちを正直に書くことをおそれないでください。
「みせびらかした」ってはっきり言えてえらいにゃ!うれしいなら「うれしい」って正直に書いていいんだにゃ。
やりがちなNGパターン3つ
短歌を書くときに、小学生がよくやってしまうNGパターンを紹介します。あてはまるものがあれば、直してみましょう。
NG ①
「楽しかった・きれいだった・よかった」だけで終わっている
感想の言葉だけだと、読む人には場面がうかびません。「どんな花火が楽しかったのか」「何がきれいだったのか」を具体的に書くと、ぐっとよくなります。
NG ②
「夏休み」「暑い」「楽しい」をぜんぶ入れようとする
夏っぽい言葉を詰め込もうとして、場面がぼんやりします。1つの小さな場面に集中した方が、読んでいる人にはよく伝わります。
NG ③
難しい言葉をつかおうとする
ふだん使わない言葉を使おうとすると、短歌がぎこちなくなります。ふだん話すような言葉の方が、短歌はのびのびします。
「月光」 より 「お月様」
「情景」 より 「ながめ」
の方(ほう)が、小学生らしい自然な短歌になります。
まとめ
この記事の例文20首は、すべてこの3つのポイントだけで作っています。
むずかしく考えすぎず、まず1首書いてみてください。書けたら、友だちや家族に見せてみましょう。きっと短歌って思ったより楽しい、と気づいてもらえると思います。
- 小さな一場面を選ぶ——
「夏休みぜんぶ」より「あのときの5秒間」
- 感じたことを正直に書く——
「きれい」より「ドキドキした」
- 5・7・5・7・7に並べる——
ぴったりじゃなくていい
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