「短歌を作ってみたいけれど、どこから手をつければいいの?」
実は今、SNSを中心に短歌が静かなブームを呼んでいます。わずか31音で日常を切り取る短歌は、現代の私たちにとって驚くほど身近な表現ツールです。
この記事では、歌人・鈴掛真さんのワークショップ動画を参考に、初心者でも「自分らしい一首」が詠めるステップを解説します。
日常の些細な「違和感」をどうやって歌に昇華させるのか。プロの視点を交えながら、短歌の基本ルールと作り方のコツを見ていきましょう。
鈴掛 真
Shin Suzukake1986年生まれ、愛知県春日井市出身 。広告会社でコピーライターを3年間経験後、作家業に専念 。2022年より、三越伊勢丹グループのキャンペーンキャッチコピーを短歌で担当している 。
短歌とは「生き方が丸裸にされる」31音の鏡

鈴掛真さんは、短歌を「ごまかしが効かない、自分の生き方が丸裸にされるもの」と表現しています。
私たちはつい「周りの空気」を読んでしまいがちですが、短歌を作る時くらいは空気を読まず、自分の内面と向き合う。鈴掛さんは、このプロセスそのものを「何を考えたのかを振り返る、最高に豊かな時間」と語っています。
短歌の基本ルール:これだけは押さえよう

短歌には、1000年以上変わらないシンプルなルールがあります。まずはこの形を覚えることがスタートです。
31音のリズムが、短歌という器の基本です。
五七五(上句)と七七(下句)で構成されます。
一首、二首…と数えるのが、歌人としての第一歩。
ルールに縛られず、今この瞬間の感情を自由に。
【初心者必見】プロが教える「崩し」と「見た目」
短歌には基本のルールがありますが、鈴掛さんは「形を守ること以上に大切なこと」があると言います。
字余り・字足らずは「心地よさ」で決める

「五七五七七」にきっちり収めようとして、言葉が不自然になっては本末転倒です 。
例えば、助詞(「を」や「に」など)を抜けば音数は合いますが、文章としてガタガタになるなら、あえて8音(字余り)にする方が滑らかで心地よい歌になります。
有名な「歌人・俵万智」の「『この味がいいね』と君が言ったから七月六日はサラダ記念日」も、実は4句目が8音です 。あえて字余りにすることで、日常会話のような自然な響きが生まれているのです 。

短歌は見た目が大切

日本語には、ひらがな、カタカナ、漢字、数字、記号など多様な表記があります 。
あえて「ビール」を漢字で「麦酒」と書いたり、「つらい」をカタカナで「ツライ」と表記したりすることで、伝わり方を調整します。
「リンゴ」「りんご」「Apple」。どれが自分の感情に最もフィットするか、妥協せずに選ぶことが大切です。
素材選びの極意:プロが教える「自分だけの視点」

鈴掛さんのアドバイスには、初心者でもすぐに実践できる2つのヒントがあります。
「昨日との違い(違和感)」を見つける
「何かすごいことを書こう」と意図するのではなく、日常の小さな変化に目を向けます。
「寝る前に 乾かしてみても 寝癖つく 祖母譲りの天然パーマ」
自分にとっては悩みである「寝癖」も、よく考えたらおばあちゃんもいつも爆発していたな……という「昨日まで気づかなかった自分とルーツの繋がり」が、短歌の素晴らしい素材になります。
あえて「フック(専門用語)」を入れる
日常語だけでまとめようとせず、自分に密着した言葉をあえて混ぜます。
日常語だけでまとめようとせず、自分に密着した言葉をあえて混ぜます。
例:「リモートワーク」「プログラマティック」
こうした現代的な言葉を1つ入れるだけで、読み手の足を止める「フック」が生まれ、あなたにしか詠めないリアリティのある歌になります。
実践!鈴掛流・短歌を作る5ステップ

短歌のルールや素材の探し方がわかったら、次はいよいよ実際に一首を形にしてみましょう。
ここでは、鈴掛真さんのワークショップ動画で実際に行われた制作の流れを、5つのステップに整理して解説します。
「あ、これって自分だけかな?」「昨日まではこうじゃなかったな」という日常の些細な違和感をメモします。
読み手の頭に映像が浮かぶように、具体的に描写します。
上句の映像を受けて、自分の本音や、誰かとの思い出、あるいは「泥臭い実感」を繋げます。
「五七五七七」という定型に縛られすぎて、言葉が不自然になるのはもったいないことです。
- 自然なリズム優先: 助詞を抜いてガタガタになるくらいなら、8音(字余り)になっても良いので、滑らかな流れを優先しましょう。
- 表記のこだわり: 漢字、ひらがな、カタカナ。どの表記が自分の感情の「温度感」に近いか、一文字ずつ検討します。
完成した歌を音読します。すべてを説明しすぎず、読み手が自分の体験を重ねられる「余白」があるかを確認します。
短歌は「自分を愛するための時間」
短歌を作る時間は、「自分は今、何を感じているのか」を整理する贅沢な時間です。
忙しい日常の中で、ふと立ち止まって「昨日との違い」を探し、自分の内面を31音に凝縮してみる 。そこには、普段の生活では見過ごしてしまうような自分の本音や、大切な人との繋がりが隠れているはずです 。
短歌のルールに関するよくある質問
- 短歌を作る時、必ず季語を入れなければいけませんか?
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短歌に季語は必須ではありません。俳句では季語が重要なルールですが、短歌は恋愛・心情・日常など幅広いテーマを扱えるため、必ずしも季語を入れる必要はないのです。ただし、季語を取り入れることで季節感や詩情が深まり、読み手に豊かな情景を伝えやすくなります。初心者の方は、無理に季語を入れるよりも、自分の気持ちを表現することを優先すると良いでしょう
- 短歌と俳句の違いは何ですか?
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短歌は「五七五七七」の31音、俳句は「五七五」の17音で作られます。俳句には基本的に季語が必要ですが、短歌は必須ではありません。また、俳句が主に自然や季節感を凝縮して表現するのに対し、短歌は恋愛や日常の感情など幅広いテーマを扱えるのが特徴です。
- 短歌の上達にはどのくらい時間がかかりますか?
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個人差はありますが、基礎的な作り方を理解して月に数首ずつ作っていけば、数ヶ月で「形になる」短歌は作れるようになります。本格的に表現力を磨いていくには、日常的に観察し、推敲する習慣を持つことが近道です。上達は時間より「継続」がポイントです。
- 短歌を人に見せるのが恥ずかしいのですが、どうすればいいですか?
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最初はSNSで匿名で発表したり、信頼できる友人にだけ読んでもらうのがおすすめです。短歌は個人的な感情を込める分、恥ずかしさが伴うものですが、共有することで「自分の言葉が届く喜び」を体験できます。少しずつ公開範囲を広げると気持ちが楽になりますよ。

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