クリスマス。誰かと過ごしていても、一人でいても、この季節特有の「揺らぎ」を感じることはありませんか?
そんな心の揺らぎを、現代歌人たちは繊細な言葉で結晶化させています。華やかな光の裏側にある切なさや、ささやかな幸福。今夜は、聖夜の空気にそっと溶け込むようなクリスマス短歌の数々に耳を澄ませてみませんか。
【この記事の結論】
現代歌人が詠んだクリスマス短歌10選
クリスマスという記号化されたイベントを、歌人たちはどう解釈し、言葉に定着させたのでしょうか。
シャンパンの泡のように消えてしまう一瞬の感情を、現代歌人たちは鋭い感性で掬い上げます。恋人と過ごす夜も、一人で歩く帰り道も、短歌というフィルターを通せば、それはかけがえのない「文学」へと変わります。
クリスマス・ツリーを飾る灯の窓を旅びとのごとく見てとほるなり
裸木の公孫樹(いてふ)は電飾に飾られて眠れずあらん降誕祭前後
紅にひひらぎそよご色づきて冬の祭りせむ幼は遠し
ニコライ堂この夜よ揺りかへり鳴る鐘の大きあり小さきあり小さきあり大きあり
待つ人はつねに来る人より多くこの町にまた聖夜ちかづく
トナカイがオーバーヒート起こすまで空を滑ろう盗んだ橇(そり)で
灰色の手袋を買ふ この国のいたくぶあつき降誕祭(こうたんさい)に
入口に夫を待たせて靴を買ふ降誕祭の電飾うつくし
口笛でクリスマス・キャロルを奏ずれば更に寂しき聖夜のプリズン
声変りしつつある故唱へぬをあはれがるころキャロルは終る
切なさと、ときめきと。俵万智「クリスマス短歌」7選
現代短歌の旗手、俵万智さんは、クリスマス(イブ)のドラマチックな瞬間も、やりきれない孤独も、鮮やかな話し言葉で表現しています。
インスタにあげた光のページェント「オレも近くにいる」ってマジカ
ドラマならやや嘘くさき設定に再会しておりましてクリスマス・イブ
シャルドネの味を教えてくれたひと今も私はシャルドネが好き
「どうだった?私のいない人生は」聞こえず飲み干すミントなんちゃら
恋をすることまさびしき十二月ジングルベルの届かぬ心
罰としてくるクリスマス・イブは雨、 聖しこの夜一人で眠る
喧騒は我には遠く来週は来年かとのみ思うクリスマス
SNSで共感を呼ぶクリスマス短歌5選
SNSのタイムラインを眺めていると、流れてくるのは写真だけではありません。誰かの心のひだを映し出した、31文字の「歌」たちが、静かに、けれど熱く共感を呼んでいます。
今回は、SNSで話題になったクリスマス短歌を厳選してご紹介します。スマホの画面越しに感じる、冬の冷たさと心のぬくもりに触れてみましょう。
ある読者と歌人を結んだ「天使」の短歌
ある読者のmaeさんが綴った「この歌が大好き!」という真っ直ぐな想いが、作者である歌人・岡野大嗣さんの心に、と届いた素敵なエピソードがあります。
倒れないようにケーキを持ち運ぶとき人間はわずかに天使(岡野大嗣)
maeさんは、この短歌についてnoteでこう綴っています。

「毎年クリスマスが近づくと、決まって思い出される一首があります。」
「ケーキを運ぶ時は皆等しく天使になるということを、三十一文字の心地いいリズムに落とし込んだこの歌が私は本当に大好きで、ケーキを買う日やクリスマスには決まって思い出してしまいます。きっと今日明日、街にはわずかな天使がいっぱい溢れる日になるんだろうな。」
自分の作った歌が、誰かの宝物になって、とても大切にされている。そのことを知った岡野さんは、その想いに応えるように、SNSで静かに、こんな願いをこぼしていました。

日常をこんなにキラキラさせてくれる言葉の魔法。私も、誰かの背中に翼が見えるような、そんな優しい眼差しを大切にしたいにゃ。
クリスマスケーキを食べるその前に
クリスマスの短歌、あなたの心にはどんな歌が響いたでしょうか。 華やかな街の灯りも、部屋で一人で過ごす静寂も、すべてはこの季節だけの特別な「贈り物」かもしれません。
今夜、もしあなたがケーキを運ぶなら、「わずかな天使」を楽しんでみてくださいね。
当サイトでは、ほかにも冬の季節に合った短歌を紹介しています。気になる方は合わせて読んでみてください。







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