【SNS歌人インタビュー】霧山-短歌で見つめる心と日常の輝き

SNS歌人インタビュー 霧山

SNSを中心に活躍する歌人・霧山さん。元々短編小説を書いていた経験もある彼女の短歌は、日常のささやかな瞬間や胸の奥でひそかに揺れる感情を、三十一文字にそっと閉じ込めます。

忙しない日々の中でも、霧山さんの短歌を読むと、自分の心の奥をそっと見つめ、赦しや受容の温もりを感じることができます——今回は、そんな霧山さんに、短歌を始めたきっかけや、言葉と向き合う時間についてお話を伺いました

目次

霧山-自己紹介

霧山、と申します。活字の海に溺れるのが大好きです。決まったテーマはありませんが、美しかったり物事の核心を突けたりするような短歌が詠みたいなと思っています。

編集者 伊吹

“活字の海に溺れる”って表現、もうすでに一首だ…って勝手にときめいちゃいました。テーマを決めない自由さも、霧山さんの歌の伸びやかさとつながっている気がします

短歌を始めたきっかけを教えてください

潜在的かつ一番大きな動機としては、子供の頃から持っている武士に対する憧れからです。自分の逝去の際に辞世の句を残せたらいいな、そのための練習を今からしておこう、と思いつきました。

編集者 伊吹

“いつかの辞世の句のために、いま歌う”という視点が、まさに武士のような覚悟。その練習としての一首一首に、時間のスケールの大きさを感じました。

あなたが“誰かの中に残したい感情”は、どんなものですか?

基本的には、自分の句に対してどのようにでも自由に感じて欲しいと思っています。そのうえでしいて言えば、「赦し」とか「受容」でしょうか……

編集者 伊吹

“正しさ”ではなく、“赦し”や“受容”を残したいという言葉選びに、やさしい眼差しを感じました。

初めて自分で詠んだ短歌を覚えていますか?

小学校の授業が最初だと思います。残念ながらよく覚えていませんが、確か雪景色について詠んだような記憶があります。大人になってからは三年前の歌が初めてかもしれません。別名義のアカウントで発表した、二次創作をテーマにしたものでした。

編集者 伊吹

小学校の雪景色から、二次創作の世界まで。幼いころの景色と、大人になってからのカルチャーが、静かに一本の線でつながっているのが素敵です。

短歌を始めてから、日常や感情の見え方は変わりましたか?

見え方そのものというより、見えたもの、感じたことをどのように文字に起こすかに変化がありました。それまで詩的表現というものにあまり馴染みがなく、いまだに難しい面もありますが、今はとにかく楽しいです。

編集者 伊吹

“世界の見え方”より“ことばへの落とし方”が変わる——まさに歌人ならではの回答だなと感じました。楽しい、と言い切ってくださるのがうれしいです。

ご自身のお気に入りの短歌を教えてください

SNS歌人インタビュー 霧山

過去最高に「いいね」をいただいたからというだけでなく、物語性を最も表現できた歌なので気に入っています。

編集者 伊吹

“百年前の光”が名乗りを上げる瞬間に、時間感覚がふっとずれる感じがたまりません。物語性とポップさが同居する、何度も口ずさみたくなる一首ですね。

一番心に残った短歌はありますか?

白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ

「若山牧水の 白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ」です。学校の授業で習って以来、この句が私にとっての短歌の軸となっており、どうにも動かせません……

この句を軸にしている理由は、色の対比やその儚げな美しさが瞬時にイメージできる一方、詠われた背景についての解釈を考える余地が広いところです。

編集者 伊吹

「白鳥」の一首をずっと“軸”として大事にしているというお話に、霧山さんらしいまっすぐさを感じました。長い時間の中でぶれずに寄り添ってきた一首があること、その選び方にも静かな品の良さがありますね。

短歌を詠むときに、いちばん大切にしていることは何ですか?

自分で口に出してみたときに、文字の並びにひっかかりがないかというのは気にしています。

編集者 伊吹

画面の上だけでなく、“声に出してみる”という最終チェック。霧山さんの歌の滑らかさは、この丁寧な確認から生まれているのだと感じました。

短歌をつくる時間や場所のこだわりはありますか?

出勤途中の電車の中や、就寝直前に目を閉じているときに「やってくる」ことが多いです。変にこねくり回さず、素直な感覚を保って詠むためには多少眠くてぼうっとしているときの方がいいようです。

編集者 伊吹

力を入れず、ぼんやりしているときに生まれる一首だからこそ、
心にそっと染み込むんですね。

短歌を通して、心に残っている出来事を教えてください。

リポストしていただいたり、コメントをいただけたりすると当然ながらとても嬉しく心に残ります。ありがとうございます、励みになります!

編集者 伊吹

SNSの一つひとつのリアクションを、こんなふうにまっすぐ受け取ってくださっているのだと思うと、読者としても胸があたたかくなります。

短歌を続けていて「よかった」と感じた瞬間はありますか?

歌を詠んだことによって、自分でも気付かないでいた感情や視点を認識できるようになった瞬間です。感覚を言葉に落とし込むことの一つの醍醐味だと思っています。

編集者 伊吹

自分の感情を“発見するため”の短歌。書くことで、自分の内側にこんな風景があったのかと気づいていく過程は、多くの短歌好きが共感するところではないでしょうか?

あなたにとって「ことば」とはどんな存在ですか?

私にとっては、世界と自分、自分の意識と無意識とを繋ぐための大事なツールです。

編集者 伊吹

“意識と無意識をつなぐ”という表現に、思わずうなずきました。霧山さんの歌の奥行きは、この見えない部分との対話から生まれているのだと感じます。

美しい”と感じるものをひとつ挙げるなら、どんな瞬間ですか?

星空や海の波など、自然に美を感じることが一番多いかもしれません。

編集者 伊吹

星空や海といった大きな自然を前にしたとき、人はことばを失いがちですが、霧山さんはそこからさらに“ことばを選ぶ側”に立っている。その距離感が、歌の透明感につながっている気がします。

もし短歌がなかったら、あなたは何で世界を表現していたと思いますか?

短編小説を書くと思います。というより、短歌よりも長く書いてきました。最近は全く書けていないので、両立して再開できたらと考えています。

編集者 伊吹

短歌を“超短編小説”ととらえている霧山さんならではの回答ですね。いつか、短歌と短編小説が並んだ一冊を読んでみたい…と勝手に思わせていただきました!

あなたにとって「短歌」とはどのような存在ですか?

自分の思考や感情を濃縮した、三十一文字の超短編小説、なのかもしれません。

編集者 伊吹

“三十一文字の超短編小説”という定義が、まさに霧山さんのスタイルを言い当てていると感じました。一首ごとに、読者それぞれの続きを思い描ける余白がある——そんな作品世界への誘いの言葉ですね。

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この記事を書いた人

“短歌=むずかしい”を、ちょっと変えたい。そんな気持ちから始まったメディアです。自分の「好き」を大切に、ことばを楽しむヒントを発信中。

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