【歌人インタビュー】半田 新-日常の中のささやかな光と影

SNS歌人インタビュー 半田新

SNSを中心に活躍する歌人・半田新さん。彼が綴る短歌には、日常に潜む切なさや小さな幸せ、そして負の感情」を見つめる短歌観について語ってくれました。

今回は、そんな半田さんに言葉で心を浄化するように詠む——半田さんの短歌に込められた想いについてお話を伺いました。

目次

半田 新-自己紹介

短歌インタビュー 半田新さん

半田 新さんはなんとなく語呂が好きでつけました。主に日常とちょっとした切なさや少し前向きになれることをテーマにしています。 日常の中にひっそりと幸せや悲しみが紛れているリアルを伝えられたらと思っています。

編集者 伊吹

「日常」と「リアル」という言葉に、半田さんの短歌の核が見えるようです。派手さではなく、淡い情感の中に生きる人の息づかいを伝えようとする姿勢が素敵です。

短歌を始めたきっかけを教えてください

短歌インタビュー 半田新さん

文章で何かを伝えたい と漠然と考えている時にFFの方の短歌ツイートが表示されて自分でもやってみたいという好奇心ではじめました。

編集者 伊吹

SNS発の偶然の出会いから始まる、というのが現代的で素敵です。「好奇心」が入口だったというのも印象的でした。詩や短歌は、理屈ではなく“心が動いた瞬間”に始まるものですよね。

初めて自分で詠んだ短歌を覚えていますか?

はじめての短歌は正直覚えていないのですが ルールも知らず定型もバラバラで詩に近い形で読んだ記憶があります。

編集者 伊吹

ルールよりも感情が先にあった、というのがすごくいいです…!

短歌を始めてから、日常や感情の見え方は変わりましたか?

日常の中に隠れている小さな感情の機微を意識するようになりました。 散歩道や通勤時に考えることが多いです。

編集者 伊吹

通勤や散歩の時間が、半田さんにとって小さな詩の発掘現場になっているのですね。

ご自身のお気に入りの短歌を教えてください

くだらない言葉一つでただそっと「側にいるよ」と教えてくれる / 半田新

大切な人を思って詠んだ一首です。

編集者 伊吹

言葉の無力さと温かさ、両方を抱きしめているような一首。
「くだらない言葉」という言い回しに、照れと優しさがにじんでいて、心にグッときました。

短歌を詠むときに、いちばん大切にしていることは何ですか?

短歌インタビュー 半田新さん

言葉のリズムと言葉の柔らかさに日常感をプラスすることを意識しています。

編集者 伊吹

「リズム」と「柔らかさ」、そしてそこに添えられる「日常感」。
この三つの要素を大切にするという言葉に、半田さんの短歌の心地よさの秘密を感じました。

最近、心に残った短歌はありますか?

傘である はずのあなたが 雨になる いつかそういう 日が来てしまう (@tavi_tanka

雨に濡れないように守ってくれていた人が、いつの日か離れてしまって雨(負の感情)を与える存在に変わってしまう日が来るかもしれない不安や恐怖みたいな部分を、綺麗に短歌に落とし込んでいて自分が目指している所に近い気がして心に残りました。

編集者 伊吹

「傘」が「雨」になる——その比喩に惹かれる理由がよくわかります。
守る存在が痛みになる、その“転換”を見つめるまなざしが、半田さんの短歌にも通じていますね。

短歌をつくる時間や場所のこだわりはありますか?

夜中で寝る前に1日の締めとして考えるのが好きです。

編集者 伊吹

静かな夜に生まれた短歌には、思考よりも感情が強く宿る気がします。
眠りにつく前の一首、きっと夢の中でも響いているのかもしれませんね。

短歌を通して、心に残っている出来事を教えてください。

今のところ特にないかもしれません。日々楽しく短歌詠めています。

編集者 伊吹

短歌を特別な出来事ではなく“日常の呼吸”として楽しんでいるからこそ、自然に続けられているのだと思います。

短歌を続けていて「よかった」と感じた瞬間はありますか?

短歌インタビュー 半田新さん

引用やリプでコメントを頂けた時です。

編集者 伊吹

他者の言葉が返ってくる瞬間、それもまた短歌の醍醐味ですね。
ひとりで詠んだ言葉が誰かの中に残る、そのつながりこそが“短歌”の形なのかもしれません。

あなたにとって「ことば」とはどんな存在ですか?

自分を表現するツールと言う感覚です。 もし表現方法との出会い方が違えば音(音楽)や色(絵)や光(照明などアート系?)なんかで表現していただろうと思います。 一番身近で扱いなれた物が僕はたまたま言葉だなと感じたので僕の中では言葉=ツールです。

編集者 伊吹

「言葉=ツール」と言い切る潔さが印象的です。
でも、そのツールを通して人の心を照らしているのが半田さん。
“使う”だけではなく“育てている”ような優しさを感じます。

美しい”と感じるものをひとつ挙げるなら、どんな瞬間ですか?

日常と非日常の境が曖昧な世界観に美しさを感じます 。

編集者 伊吹

“境界のあいまいさ”に美を見いだす視点が、まさに半田さんらしいと感じました。短歌の中で現実と幻想がふっと溶け合う瞬間、それが彼の詩情を形づくっていますね。

もし短歌がなかったら、あなたは何で世界を表現していたと思いますか?

俳句や詩、SSなど結局は言葉や文章を使って何かしら表現はしていたと思う

編集者 伊吹

どんな形でも“ことば”を選んでいたというのが印象的です。
結局、半田さんにとって「表現=呼吸」。ジャンルの違いはあっても、心の根は同じなのだと思います。

あなたが“誰かの中に残したい感情”は、どんなものですか?

短歌インタビュー 半田新さん

僕自身、根暗でマイナス思考な人間なのですが、不安や恐怖といった負の感情と日々戦いながら生きています。よく「マイナス思考はダメ!」と否定されがちですが、自分の根底にある暗い部分を否定されると、自分のすべてを否定されたような気持ちになることがあります。

だからこそ、短歌を詠むことで「周りからは否定されても、自分くらいは自分を肯定してあげてもいいんじゃないかな」と思えるようになりました。同じように読み手の方にも、そんな気持ちを持ってほしくて、“負の感情を残したい”と答えました。

編集者 伊吹

「負の感情を残したい」という言葉に、深い優しさを感じました。
痛みを抱える自分を否定せず、むしろそれを“生の証”として詠む、
短歌が“心の避難所”になっていることが伝わってきました。

今のあなたにとって「短歌とは何か」

僕にとっての短歌は 自分の脳内を外に吐き出せるツールのようなもので日々感じるモヤモヤを表現することで浄化する方法の1つです。

編集者 伊吹

「浄化」という言葉がとても印象的です。
誰かに届ける前に、まず自分を癒やすために詠む——その誠実さが半田さんの短歌の透明感をつくっているのだと思います。

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この記事を書いた人

“短歌=むずかしい”を、ちょっと変えたい。そんな気持ちから始まったメディアです。自分の「好き」を大切に、ことばを楽しむヒントを発信中。

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